スマブラに学ぶ、熱中できるゲームとは「気持ちよく負けられるか」

スマブラ

Twitterからこの記事を見にきた人は今更かもしれませんが、スマメイトというスマブラ交流サイトの運営をしています。

このサイトの一番の人気コンテンツとして「レーティング対戦」というものがあります。

レーティング対戦とは、「決められたルールを元に勝負を行い、自身の実力をレートという指標で計ることができる」ものです。

レートは勝てばプラスされ、高ければ高いほど強いプレイヤーである、ということですね。

ポケモンやマリオカートなどでも、オンライン対戦があるゲームなら、計算は違えど似たような指標があると思います。

元々はスマブラ3DSの頃から運営を開始していましたが、今は最新ハードであるスマブラSPに以降して、開始から約4年半の月日が経っています。

スマブラSPになってから、スマメイトの利用者人口が一気に5,6倍ほど跳ね上がり、嬉しい悲鳴を上げております。

一方で、人口が増えたことにより、スマブラの「対人戦」の世界を知り、打ちひしがれている人のツイートや日記もよく見かけるようになりました。

これは、前作からの利用者も感じていることではないでしょうか。

そんなスマブラを、公式はどう見て欲しいのか。

今日ふと考えたことを、記事としてまとめてみましたので、ご一読頂けると嬉しいです。

スマブラと大乱闘

スマブラとは、本来格闘ゲームのアンチテーゼとして作られた、「対戦アクション」に部類されます。

今でこそ、タイマンやチーム戦といった遊び方も浸透していますが、スマブラに初めて触れた時は友達と大乱闘、という人のほうが多いでしょう。

自分はそうしてスマブラにハマっていく中で、次第にテクニックなどを極めたくなり、タイマンにのめり込む、という過程を踏んできました。
これは同じ方も多いはず。

しかし、スマブラ公式では、いわゆるタイマンの遊び方には消極的でした。

オンライン対戦が初めて実装されたWiiのスマブラXでは、タイマンの対戦モードは存在しません。

結果、より公平なルールで対戦を求める人と、大乱闘でワイワイ対戦したい人がオンラインに混ざり、「終点厨」という言葉が生まれるほど、両者の間に軋轢が存在していました。

その現状を鑑みて、次回作のスマブラforで初めて「ガチ部屋」というタイマン目的のマッチングモードが実装され、棲み分けがされました。

そして、タイマンを乱闘とは別物として調整し、「1on1」がルールとして実装されたのは最新作のスマブラSP。
ここで初めて「世界戦闘力」という、実力を示す指標が登場しました。

しかし今でも、スマブラは大乱闘が下地にあり、タイマンは楽しみ方の1つ、という姿勢は、公式は変えていません。

スマブラの紹介映像を見ても、タイマンをシーンにしている映像はかなり少なく、乱闘を前面に押し出しています。

大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL 紹介映像

これは、スマブラを楽しむ入口は、まずは「大乱闘」であってほしい、という公式のメッセージではないでしょうか。

ステージの世界観や、アイテムやギミックを楽しみつつ、どんなミスも事故も笑って「早く次やろ!」と流せる気楽さが、スマブラの大乱闘にはあります。

この「気楽さ」を、任天堂の対人ゲームでは徹底されていると思います。
特に、スマブラの生みの親である、桜井政博氏が手掛けるゲームに関しては。(この記事では操作性の気軽さについて語っています)

この辺の楽しみ方については、桜井氏のインタビューでも語られていますね。

そういえば、初めてオンライン対戦が出来たスマブラXのマッチングモードも「おきらく乱闘」という名前でしたよね。

元来ゲームというものは、楽しむためのもの。

遊戯を求めているのであって、大会などの特別なシーンでない限り、競技を求めているわけではないからです。
それが初心者の導入なら尚更です。

スマブラとタイマン

では、スマブラでタイマンを行った時はどうでしょうか。

ここでの「タイマン」とは、アイテムなし、ステージギミックなしの、運要素を極力排除した対戦を指します。

アイテムやステージギミックに頼ることが出来ない分、ゲームに勝つには実力を付けるしかありません。
(乱闘が実力とは無関係と言いたいわけではなく、あくまで比重の話です)

操作精度であったり、キャラクターの知識であったり、経験であったり、様々な実力が結果として、残酷にも反映されてしまいます。

必ず1人が勝者として君臨し、必ず1人が敗者とならざるを得ないゲームです。

そんなもんタイマンなら当たり前だろアホかと思われるかもしれません。

しかし、皆はタイマンを楽しみたいと言いつつも、「負けることはつまらない」ことだと、殆どの人は思っているでしょう。
必ずどちらかは負けるにも関わらず、「楽しむ」とは相反する「つまらない」可能性があるタイマンに、自ら望んで立ち入っているのです。

タイマンで負けたら言い訳ができない

スマブラのタイマンは、アイテムやステージギミックの介入がない分、勝敗は実力によって決まることは、先ほどお話ししました。

そう、負けた原因は「自分の実力」であることを認めざるを得ないのです。

ここで大事なのは、人間は必ず「負けた言い訳」を探したくなる生き物、ということです。

大乱闘であれば、

「あそこでボム兵が降ってこなければ…」
「あそこで相手の目の前にスマッシュボールが落ちてこなければ…」

などと言い訳が出来ます。
大乱闘の結果には、実力とは無関係な要素も大小問わず入っているからです。

また、3人以上の乱闘であれば、自分以外にも敗者がいるからこそ、悔しい感情の共有もできます。

そう思えるから、「次やれば勝てる!」「早く次やろう!」と元気に言えるのです。

しかし、タイマンではそんな言い訳が出来ません。

ゲームに対して言い訳が出来ない分、行き場のない負の感情を対戦相手へ向けるプレイヤーも少なくないです。
「ガン逃げ」「ぶっぱ乙」等と。

「運による理不尽な負け」と「実力による負け」。
前者は開き直れますが、後者はそうではありません。

仕事やプロの世界でもなければ、部活の試合などの競技の世界でもない、楽しむために遊んでいるゲームで、実力による負けを受け入れなくてはいけない。

これは、ゲームをしている目的すら失いかける、辛いことなのではないでしょうか。

こう思うと、前作のスマブラforでは、レートシステムがなかった理由や、現在も「世界戦闘力」というある種曖昧な指標になっている理由は、

「プレイヤーには負けを引きずってほしくない」

そう公式は考えている、と僕は思います。

スマブラの公式大会も、1vs1ではありつつも運要素も含む「ギミック有ステージ」や「アイテム有」になっている点も、そういった背景から考えられたルールでは、と勝手に思っています。

スマブラとスマメイト

とはいえ、やはり真剣勝負そのものを求めているユーザーも一定数います。

自分の実力を証明したい、誇示したいといった自己顕示欲も、人は持っているからです。

「自己顕示欲」は悪い言葉として使われることがありますが、人間の健全な欲求の1つであり、むしろ大事なエネルギーです。
(バカッターのように犯罪してでも目立ちたい、行き過ぎた行為が悪い例です)

私がこの記事を書いているのも、自分の主張を皆に見てもらいたい、認めてもらいたいという自己顕示欲が生み出したものです。

閑話休題。

スマメイトが4年半も続いてきた理由は、そういう需要がずっとあったからです。

さて、私が運営するスマメイトですが、これは公式の世界戦闘力とは異なる「レート制」となっています。

1500がスタートで、勝利すると数値があがり、負けると下がる。
実力を示す指標としては限りなくシンプルです。

また、プレイヤーページでは、何勝何敗で、今何位で、誰に勝ち誰に負けたか、などの情報が、一覧とグラフになって、プレイヤーに襲い掛かります。

公式のそれとは異なり「負ければレートが下がり、負けた事実(ログ)は残り続ける」のです。

僕としては、基本的に多く情報が見れた方が良い、と良かれと思ってやったことですが、この情報を受け入れたくない人も少なからずいるはず。

また、これはスマメイトプレイヤーにとっては薄々気づいてる事実かもしれませんが、対戦相手のTwitterを見ていると「この人荒れてるな」と思う事、多くありませんか?
(自分がそうだよ、と、心当たりがある人もいるかも)

負けた言い訳もできない、しかも負けた事実をまざまざと見せつけられるスマメイトは、公式のそれとは異なり、ストレスを溜めやすい性質を孕んでいます。

Twitter検索で「スマメイト メンタル」とかでググると、「メンタルが崩壊した」とか、「あそこでメンタル鍛えてくる」などと書かれたツイートをよく見かけます。
これを見るに、とりあえずユーザーの中ではストレスが溜まるサイトという認識が既にあるっぽいです。ちょっとショック

ただ、それはプレイヤーの個々の意識の問題であり、自分に責任は感じていませんでしたが、そういう負の感情をサイトが助長させていることにようやく気付きました。

とはいえ、本当に言葉通り負けを受け入れない(負けの申告をしない)プレイヤーは規制の対象となりますので、ルールは必ず順守してくださいね。

レート非表示機能に需要があった話

スマメイトの運営を開始してから、かなり初期からこういった要望がありました。

「レートを非表示に出来る機能が欲しい」と。

いや、「それ(レート)を知りにレーティング対戦に参加しとるんちゃうんけ」、と、当時はニッチな需要だと決めつけていました。

しかし、実装自体は簡単なものなので、先月に実装してみたところ、これが好評で、現時点で500人以上のユーザーがレートを非表示にしています。

「ようやく気楽にやれます」と、感謝の言葉も頂きました。

やはり、口では真剣勝負の望みつつも、一方で負けた事実は目に入れたくない、というのは、人間の性(サガ)なのかな、と改めて思わされました。

カードゲームに学ぶ事例

「カードファイト ヴァンガード!」というトレーディングカードゲーム(TCG)をご存知でしょうか。

ブシロードという会社がリリースしたTCGで、この会社はヴァンガード以外にも多くのカードゲームを手掛けてます。

また、このヴァンガードがリリースされる前に、ブシロード(当時はブロッコリーという名前)は、「ディメンションゼロ」というカードゲームも販売していました。

「ディメンションゼロ」は、当時のカードゲームにしては珍しい、運要素が少なく、プレイヤーのプレイングスキルが勝利に大きく反映されるゲームでした。

大体どんなゲームでも、「運ゲー」と言われるゲームはネガティブな方向で使われることが多いですよね。

大体のカードゲームは運要素が少なからず存在しますが、そんな中でも実力が色濃く反映される「ディメンションゼロ」は、革命的なカードゲームと当時は言われていました。

しかし、月日が経つにつれてプレイヤーは先細りし、結果的に「ディメンションゼロ」は2010年頃に販売が停止されました。

何故ディメンションゼロは売れなかったのか。

これを、多くのカードゲームの販売や制作に関わり、現在はカードゲームの原作者として知られている「池っち店長」は、スマブラの項でも述べた「負けた言い訳が出来ないゲームだったから」と分析しています。

この反省から生まれたカードゲームが「ヴァンガード」です。

ヴァンガードは運要素の強い「ドライブチェック」というシステムがあり、「運ゲーじゃねえか」と当時は多く批判を受けていたのを覚えています。

しかし、世間的にヒットしたのは「ヴァンガード」の方で、現在でも販売は続いています。

所謂「ガチゲー」であるほど、ユーザーは先細りしてしまうことを知ったブシロードの木谷社長は「ヴァンガードは運ゲーと言って欲しい」とまで発言していたそうです。

前述のスマブラの例でも伝えた通り、飽きずに続けられるタイトルは、「気持ちよく負けられる」ことが大事、ということが分かる一例ではないでしょうか。


今になって考えると、ライトユーザーとコアユーザーをここまで共存させることは、簡単ではないと思います。

スマブラは入り口に「大乱闘」を設け、より多くのユーザーが「気楽」に楽しめるシステムを作り、さらに対戦テクニックを極めたい人向けに「1on1」があり…という、極めて理にかなった順路が用意されています。

今ではスマブラにもesportsの機運が高まり、より競技性を高めるための調整も行われています。

考えれば考えるほど、任天堂は子供から大人まで愛される理由がよく分かりますね。

この記事を読んでいるスマブラプレイヤーの方は、いわゆるタイマン勢が多いと思いますが、一度初心に帰って大乱闘で遊んでみるのも楽しいですよ。

一風変わったスマブラを楽しみたい方は、こんなルールも考えて遊んだことがあるので是非一度お試しください。

スマブラオリジナルルール「神殿ハンター」で遊んでみた
先週末に友達と集まって遊んでみたオリジナルルール「神殿ハンター」について紹介してみます。 タイマンや乱闘とはちょっと違うルールを楽しみたい方は是非遊んでみてください。 神殿ハンターとは 「神殿ハンター」のルールはこちらです...
以上、スマブラに学ぶ、熱中できるゲームとは「気持ちよく負けられるか」、でした。

コメント

  1. 匿名 より:

    「認めざるを得ない」です。
    「認めざるお得ない」ではありません。
    二箇所間違っているので一応

  2. 匿名 より:

    くっそどうでもいい記事に時間とられた

  3. 匿名 より:

    最近のpvpゲームは下手な人でも運で勝てるような調整になってることが多い
    シャドウバースとか散々ユーザの不満を買いつつもそれなりの収益を出せている典型例
    良バランスは今のゲームに求めるもんじゃないね

  4. 匿名 より:

    「理になかった」とあるのですが「理にかなった」ではないかと…
    あと細かいですが「お話したい」よりも「お話ししたい」の方が正しいです

  5. 匿名 より:

    いい記事だと思いました。

    ゲームを通して人の心理が浮き彫りになってて面白いですね。
    自分がなぜスマブラをやっているのかをときどき省みるのもいいかもしれませんね。

  6. 匿名 より:

    >また、このヴァンガードがリリースされる前に、ブシロード(当時はブロッコリーという名前)は、「ディメンションゼロ」というカードゲームも販売していました。

    正確には、
    木谷氏がブロッコリーを創業する。ブロッコリーから「ディメンション・ゼロ」を販売する。
    その後、木谷氏がブロッコリーを抜け、新たにブシロードを創業する。ブシロードから「ヴァンガード」がリリースされる。

    今も、ブロッコリーとブシロードは別の会社としてそれぞれ残ってる。

  7. 匿名 より:

    スマメイト 感謝しています

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